最近俺としてはどうでもいいのに騒がれているのが食品偽装問題。これについてはほとぼりが冷めたあたりに少し書こうかなーと思うが、
ZAKZAKの記事で「なんだかなー」という記事があったので書いておく。
それは
食品偽装、ホテルオークラでも 刑事告発はできるのか? - 政治・社会 - ZAKZAKという記事だ。まぁ記事の内容自体に大したことは書いていない。だが、元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士の
「ひとつは、被害日時が特定されていること。料理にかかったコストと表示価格との間の差異が大きいと詐欺に問いやすい。たとえば、2万円払ったにもかかわらず、実際のコストが1000~2000円だった-といった場合だ。被害者の会が結成され、詐欺の因果関係がはっきりすれば、刑事罰に問われる可能性は十分ある」(若狭氏)
というところにはちょっと引っかかるものがあった。
料理にかかったコストというと、かなりの人が食材の材料費を思い浮かべるのではないかと思う。上記の例えでは、20000円程度の商品の場合、コストが売価の5~10%くらいだと刑事罰に問われる可能性があるとのこと。まぁ弁護士だから料理のコストが材料費だけだなんて言わないとは思うが、もし本気で材料費のみをコストというのであれば勘違いも甚だしいし、そうでなくてもこんな誤解を招く表現はしないで欲しい。
そんなことを言ったら、例えば車の車体に使われる
鉄板は1トンで70,000円程度のようだ。その他の材料、例えばゴムやプラスチックなどを含めても、加工賃がなければ10万もかかっていないと思う。だが、その上に加工賃や加工のための設備投資、設計費用、更には販売費や広告費なども含まれて販売価格になるわけだよ。缶ジュースなども同じで、あの価格の中の材料費が如何に低いかは量販店でのペットボトルの価格を見ればわかると思う。例えば、コーラは350ccを自販機で買うと120円だが、量販店では1500ccが160円以下で売られていたりする。量が4倍以上でも価格は1.3倍にしかなっていない。これ、原材料費が高かったらとてもじゃないが販売不可能な価格なんだよね。
料理も同じで、特にホテルなんかは料理材料費の他にコックやウエイターの賃金、それに巨大で豪華な施設を維持する費用も当然含まれる。ホテルの料理が高いのは高くしなければやっていけない理由ってのもそれなりにあるからなんだよ。人件費だけでも20%は優に越えるので、料理のコストが5~10%なんて絶対にありえない。
ついでに言うと、レストランってのは料理の材料費率が全て一緒なんてありえなくて、サービス品やフェアメニューなんて奴は材料費率が高くて、その分を何かで補うように出来ている。これをコストミックスと言ってだな、トータルでうまくコストを合わせるのが腕の見せどころなんだよ。だから中にはかなり材料費率が低いものもある。だけど値段なんて「お値打ち感」が全てで材料費で決まるわけじゃない。
もっと簡単にいうと、さっきの例は「お前が生きていくのに食事代だけあればいいだろ?」って言われているようなもんなんだよね。住む所の金もないし電気水道ガスも使えない。それで生きていけるわけないじゃないか。
少し考えれば分かる話なんだが、こういう発言って馬鹿がすぐ乗ってくるんだよなぁ。弁護士なら、世の中は考えないやつが多いことを踏まえた発言をして欲しいもんだな。