VFR400Rはそれなりにレーシーでカッコ良かったし、その動力性能も全く申し分ないものだった。だけど何かが違う感じがしていた。CBX400Fはガタガタだったしパワーもそれなりでしかなかったのでいつも「もっと走れ!」みたいな乗り方をしていたのだが、VFRは400ccにしてはかなりパワフルだったが、なによりフロント16インチのクイックな操縦性はどうしても馴染めなかった。マシンに不満があるわけではないのだが何かが足りないというか、ちょっと扱いきれないなぁと思うことが多かったからかもしれない。
ある日のバイトの帰り道、道端にやたら小さく見えるマシンが停まっていた。そのマシンはトップブリッジの下からセパハンが出ていて、かなりの前傾を強いられるようなポジションなのがすぐわかった。近寄って見ると、その風貌はほぼレーシングマシンである。スポンジマウントされ中央にタコメーターを配置したレーシーなメーター、太いフレーム、カウルの下から見えている太いチャンバー、軽くて頑丈そうなスイングアームにフロントフォーク、シングルシートもどきのリアカウル・・・何から何までレーシングマシンそのものだ。冗談抜きで「こういうマシン売っていいの?」と思った。
俺はこのマシンを見るなり、NSRの虜になってしまった。すぐにVFRを下取りにいれ、ブルーのMC18を購入する。俺が購入したマシンはMC18でもチャンバーからサイレンサーにつながる部分がステンレスになった奴だ。2stにはあまり良い思い出がなかったが、このマシンには本当にワクワクした。初めて跨るとそのシートの高さに少々驚いたが、マシンの軽さはまさに異次元。250ccとは思えないくらい軽い。
走り出すと2stとは思えないほど低速からトルクがありしっかり走る。エンジン回転の上昇は2st特有の速さがあるが、戻りも比較的速かった。それより感心したのはエンジンブレーキの効きのよさだ。さすがに4stとは比較にならないが、アクセルを戻すときちんと減速するのである。これはとてもうれしかった。慣らし中でもそれなりにパワーがあるので、普通に走るには全く問題がない。
サスは若干固めに感じた。固いというより、とにかくゴツゴツと路面の状態をそのまま拾ってしまう感じ。これは固いというより車重がないことが一番の原因だったのだろうし、あのころはサスのセッティングなど考えたこともなかったからなぁ。
慣らしも終わって、初めてパワーバンドに入れたときの衝撃は今でも忘れない。7000rpmからアクセルレスポンスは極端に良くなり、9000rpmを越えるとアクセルを開ければ開けた分クイックに加速するのである。調子に乗りすぎて11500rpmあたりまで回してしまい、回転が頭打ちしてしまうことも度々あった。9000rpmを常用域として使うと、こんな楽しいマシンがあるのかと思うほど楽しかった。ただ、エンブレの効きがやっぱり2stなので下りは若干怖かったな。
このマシンがあまりにも素敵で俺はNSRにぞっこんになってしまった。だからNSRの新型が出たとき、迷わず買い替えを決意したのだが・・・
NSRは今でも「手放さなければよかった」と思い切り後悔しているマシンです。持っていても維持費がそんなにかかるわけじゃないのに、なんで売っちゃったんだろうと・・・
思いでのマシンは2/3くらい終わって、そろそろネタが尽きつつあります(笑)。
それにしても、「思い出のマシン」シリーズは、どこまでいくんでしょうか。いったい何台のバイクをのりついだんでしょう。思い出深いマシンが沢山ありますね。