グリーンピア南紀、再生頓挫 業者は構想示し放置
グリーンピアには、潰れる前に何度か遊びに行ったことがあります。行ったことがあるのは、田老と岩沼ですが、第一印象は「一般企業だったらやらない(やれない)ね」という感じです。最初のころは予約も取れないくらい流行っていたようですが、最後の方は集客があてにできるであろう夏休みなどの期間や週末もあっさり予約できる程閑古鳥が泣いたような状態であったようです。どこかから金がくるから運営できるのであって、顧客から入ってくる金だけで運営ができるとは到底思えない状況でした。
上記記事に書かれている内容だけで判断すると、グリーンピア南紀は10年間賃貸料1億6000万円にて買い取られた様です。この記事からは1億6000万円が年額なのか10年の延べ賃料なのかは明記されていませんが、話の流れからは年額1億6000万円の様です。月額にすると約1333万円です。
かたや収入はどうかというと、最盛期でホテル来客者4万人とあります。客単価を15000円と仮定してもたかだか年間6億円です。この売上で投資額122億を回収するには、売上全部が利益だとしても20年以上かかかります。宿泊特化型のホテルの場合経常利益率が50%を越える場合もある様ですが、仮に経常利益率を50%としても投資回収には40年以上かかってしまいます。当然無利子が前提です。
何を言いたいのかというと、このような実績が出ているにもかかわらず、
蒋氏側が提出した事業計画書などでは、総事業費57億円で「健康と癒やしの里」が整備される構想だった。06年4月にホテルをリニューアルオープンさせ、同年6月に温泉の掘削に着手。今年1月から「超高級宿泊施設」10棟の建設を始め、開業3年で200人の雇用を生み出す、としていた。
事自体がとても信じられない話な上、そんな話を信用した事も信じられないのです。
いままで投資回収できなかったところに初期投資額の半分くらいの再投資を行って回収が出来るのか、なによりその場所やその建物は集客力があるのか。夢を見るのは勝手ですが、夢を見ているだけで到底実現出来ないような話のように聞こえます。そもそも200人の雇用を生み出すためには、年収300万と仮定しても、給料だけで6億かかります。10年で投資回収するとして、最低人件費6億と投資回収分の6億弱の12億は絶対に必要な金です。どう考えても年間20億以上の売上がないと無理な話だと、ぱっと考えてもわかりそうなものです。最盛期の3倍以上ですね。
では、同じ場所で、設備に多少手を加えたくらいで集客力が3倍にすることが可能ですか?3倍に増やす手だてがあったら教えてほしいですね。たぶんすぐに億万長者になれます。
那智勝浦町の人には御愁傷様でしたとしか言いようがないのですが、このようなちょっと考えればわかるような事業計画を信じてしまう方にも問題がなかったとは言えないようにも思います。その計画を持ってきた人が、たとえどんなに有力者であろうともね。