こういう報告ってどうなんだろ。
精神障害の労災が過去最多、建設業で目立つ「自殺」
この記事では建設業で自殺が目立つとあるが、仮に全就業者の殆どが建設業に従事していたとすれば、人数が増えて当たり前。全体母数がわからないのに自殺者の実数だけ言われても多いのか少ないのかさえわからん。こういう記事だけをみて「建設業界ヤバイ」とか思う人は騙される確率もかなり高いのではなかろうか。
ということで、どの業種が危ないのか、業種別就業者数と労災補償の人数を比較してみた。就業者数は
総務省統計局の数字を使った。データはこちら。
労働力調査(基本集計) 平成29年(2017年)5月分 (2017年6月30日公表)
労働力調査(基本集計) 平成29年(2017年)5月分結果の概要(PDF:271KB)
厳密に言えば、労災の調査期間と業種別就労者数の期間は合わせるべきなのだが、大勢に影響はないだろうということで就労者数は最新のデータを使った。
調べた結果がこちら。
1万人あたりの労災人数および自殺者が高いところは次の通り。
労災人数
1、運輸・郵便 0.135人
2、情報通信 0.125人
3、建設 0.110人
自殺者
1、建設 0.032人
2、情報通信 0.028人
これを見る限り、情報通信もかなりヤバイ。なのに問題するのは建設だけっておかしいよね。こうやって情報操作されていくんだよね。見ると、この記事を書いた人は、どうやら建設業界に造詣が深い方のようだ。そりゃ偏るよなぁ。
とまあ、データを使っても見せ方によっては我田引水できるし印象操作も出来るという話だよね、と思った次第。もっとみんな数字に強くなろうぜ。