先日、友人の会社で「震災等に備えて社員の連絡網とかを再度見直すように」というような話が出たらしい。俺はその話を聞いて「まぁやらないよりいいんじゃない?」と思いつつ、実際の巨大災害に飲み込まれていない人はこんなもんなんだろうなぁと思った。
連絡網を作るのはいい。だが、実際は連絡など全く取れない。電話は通じないし携帯の中継局がやられるとネットも通じない。大規模停電になるとそういう状況になる。連絡なんて取りようがないのである。とりあえず移動して、自分の目と耳と口で連絡を取るしか無いのだ。福島出身の社員などは、いくら実家に連絡したくとも出来ず、連絡がついたのはかなり経ってからだった。災害の現地から連絡する方法は殆ど無い。こういうことは、実際に災害のど真ん中にいないと味わえないものだ。わからないから「連絡網」なんて話になってしまうのである。未曾有の大震災でなければ役に立つだろうが、そんな時はべつに慌てる必要もない。
以前も書いたが、「災害時はTwitterが有効」みたいな話も、俺に言わせりゃ「アホか!」である。だって、携帯が全て圏外なんだぜ?当然PCも動かせないし、よしんば動いたとしても光もADSLも死亡している。とにかく外界と繋がっていないんだ。情報は電気が来ていないから、乾電池で動くラジオだったんだよ。そんな状況、なってみないとわからないよね。
店はどこも閉まっていて、とにかく食料の確保に苦労した。それでも少し落ち着いてくると、グチャグチャになりかけた店内から食料を運び出して販売し始めた店も結構あった。そんな中でも誰も騒ぎもせず、きちんと順番を守って買っている人たちを見て、やっぱり日本人ってすごいなと思ったものだ。
外野はかなり騒いでいたようだが、災害の中心にいた者は黙って静かに待っているしかないのだ。その声は誰にも届かず、久々にTVとかをみて「すごかったんだなぁ」と他人ごとのように思うしかなかった。そんな気持ちなど判るはずもないだろうなぁ、とか思いつつ、わからないままのほうが幸せだよな、とも思った次第。
改めて震災で亡くなられた方々のご冥福をお祈りします。