あの大地震からあっという間に一年が過ぎてしまった。前にも少し
書いたが、あの日のことは今でもよく覚えている。
俺の職場のあたりは停電になったくらいで大きな被害は全くなかった。だが、電力は一向に回復せず電車も不通、ワンセグとかの情報によるととんでもない津波が来たらしい。こういうときはラジオとかTVとかがあれば遠くの情報は多少つかめるが、一番つかめないのが周辺の情報だったりする。高速が使えるのかもわからないし、高速バスとかも動いているのか・・・ それでもとりあえず時間とともに騒然とした感じは薄れていった。
公衆電話も携帯も通じなかったので、周囲の状況が落ち着くにつれ家のことが心配になってきた。俺の家は海からも遠く地盤もしっかりしているのでそう大きな被害はないだろうと思ってはいたが、学校や職場から家にたどり着いているのかが一番の気がかりだった。上司に断り、とりあえず車で家の様子を見に帰った。
家までの道は信じられないほど暗く、夜になると吹雪いてきたので視界が非常に悪かった。悪魔に襲われたような真っ黒な空は決して忘れないだろう。早めに家に着きたかったので高速に向かったが、高速は通行止め。しかたがないので一般道を帰る。頼れるものは車のライトだけ、走れど走れどすれ違う車はあるが建物はほぼ全て真っ暗だ。まるでゴーストタウンである。
道路や建物に被害はほとんどない。やっぱり日本ってすごいなと改めて思う。ただ、いつまで経っても電気が復旧しないというのは十勝沖地震以来の経験で不気味だった。
家につくと、家族はとりあえず全員無事だった。娘と長男は学校から帰って家にいた時、次男は学校、嫁は職場でグラッときたらしい。次男の帰りが遅いので嫁が車で探しにいったとか言っていた。「こういうときに出歩くのは命取りだろ。イザと言うときにガソリンが無くなってはシャレにもならんジャマイカ。」とか思ったが無事だったからいいだろ。
とりあえず無事を確認できたのでちょっと休んでとんぼ返りで職場にもどる。職場に戻るとこっちは電力が回復していた。仙台からたった50Kmの距離なのにこの差はなんだ?
続く