知人が「観光業の風評被害に燗する損害賠償説明会」なるものに出席した。その説明会は東電の担当者を招き、損害賠償の考え方を明かにするとともに今後の対応について話し合うのが主旨だったようだ。
ご存知のとおり、原発事故による観光業の損害が認められているのは、今のところ「福島県、茨城県、栃木県、群馬県」の4県のみである。無論、建前としてこの4県以外でも、原発事故を理由とする減収の事実が認められれば損害賠償の対象にはなるらしい。しかし、出席していた東電担当者によれば、今のところ
この4県以外で損害賠償が認められた事例はないという。
出席者の中にはかなり厳しい口調で東電担当に詰め寄る場面も見られたらしいが、そこはサラリーマン担当者、うかつな事を言えるわけもなく、また、その場で決定できる権限もない。言い方は悪いが、単なるアリバイ作りでしかないのだろう。
東北の観光業は大きなダメージを喰らっている。その要因の一つが「原発事故」であるのは誰も異論がないに違いない。ただ、その因果関係は簡単に立証できるものではない。逆に「原発事故が原因で外国人が来なくなった」というのは事実として認識されているため、インバウンドの減少は立証されやすい。だからインバウンドは言われる前に補償対象として明示し、後はお茶を濁したのだろう。
繰り返すが、福島県、茨城県、栃木県、群馬県以外で損害賠償が認められた事例はないとのことである。いくら説明会を開いてご意見を聞かせてくださいというポーズを取っても、結果はこんなものなのだろう。それどころか、仮にこの4県以外で賠償が認められても、結局は電気料金を値上げして巻き上げるだけではないのかなぁと思った次第。きちんと賠償させたら潰れるのであれば、潰してしまって新しい会社にするべきではないかとつくづく思う。