ニホンオヤジがどうしても許せないのが
おなごのタバコだ。俺は別にどうでもいいと思うのだが、ニホンオヤジは絶対におなごのタバコは許せんはずだ。
タバコは百害あって一利なしである。ましてやこれからの日本を支える子供を産んでもらわなければならない女性がそんなもの口にくわえて鼻からブヒーと煙を出していることなど、許せるはずないではないか。
かつてタバコを吸う女性と言えば、飲み屋のねーちゃんなどに限られていたものだ。ニホンオヤジにとって、タバコは男のステータスなのである。そのせめてものステータスを無視しずけずけと聖地に踏み込んでくるような女性の喫煙を、ニホンオヤジが快く思うはずなどなかろう。
それが今ではどうだ。すぱーぶひー女の多いこと多いこと。
成人喫煙率(厚生労働省国民栄養調査)を見るがいい。男はだんだんタバコとの距離が遠くなってきているのに、女はますますすぱぶひすぱぶひしまくっている。
ああ、なんたるちあである。ニホンオヤジの嘆きが伝わってくるようである。
だからといって
女のくせになどと言おうものなら
非難轟々間違いなしで、最後には
人格まで否定されてしまうこと請け合いである。そんな時、いなかっぺいよろしくしゃべればしゃべったとしゃべられしゃべねばしゃべねとしゃべられるニホンオヤジは、一体ニホンオヤジはどうすればいいんだぁ畜生と三船敏郎の菊千代ばりに叫びたくなるのである。
だが、その心の叫びさえ持つことを許されず否定され続けたニホンオヤジ。表面だけでもポリシーに反した行動をとるうち、その確固たるポリシーも次第になくなっていってしまった。ニホンオヤジの根性のなさが自己否定につながり、結果として絶滅の危機を招いていると言ってもいいだろう。こうしてニホンオヤジは急激に数が減少していったのである。
嗚呼無情。