先日とあるセミナーに出た。内容はそれほど無いようというダジャレでも発していないとどうしようもないようというくらいのもので、まぁ大したこと無い。
で、ああいうセミナーの講師は、似たり寄ったりの特徴を持っていたりする。経営コンサル、特に社員のモチベーションで業績を・・・みたいなたぐいは、ポジティブ!、変える!、前向き!などがキーワードで、身も蓋もない言い方をすればこれで全ての理論が組み立てられている。考え方としてはいいんじゃないの?とも思うので、納得した人はがんがれ、というところだ。
ただ、俺がいつでも納得出来ないのは、あの根拠の無いポジティブ思考だ。ある事象について様々な面から検討すると、その検討結果は多岐にわたる。あの要素がこう絡めばA、絡まなければB、違う要素が絡めばC・・・など、場合分けしていっただけでも気が遠くなるようなケースに分かれる。その各々のについて、背負うリスクと起こる確率を想定すれば、なんとなーくやるべきかやらざるべきかは判る。要素が多すぎて結果がわからなくても、結果に大きな影響を与える要素については認識できるし、その結果如何で止めるか一旦止めるか進むかを決めることもできる。その場合に転ばぬ先の杖を考えておけば、あまりネガティブになる必要はない。本来のポジティブ思考とはこういうものだと思っている。そんな思慮もなく、ただ単にポジティブ=良いことというのは思考を停止させただけのことでしかない。
なぜ思考停止を推奨するのか。それはそのほうがコンサルタントに取って都合が良いからである。思考を停止させることでコンサルタントの言うことを黙って聞いてもらえる。また、難しい事象についても、考えることをやめた経営者は、深く読んでくれというリクエストがコンサルタントに送るようになるのである。
と、コンサルを悪者にしてみた。
これは冗談としても、今のポジティブ思考至上主義は気持ち悪くてしかたがない。右頬を殴られても、笑って左頬を出すようでかなり不気味である。ネガティブな思考がなければ人は危険を察知できない。ネガティブな要素を考えて考えて考えぬいてこそ、本当の意味でのポジティブ思考が生まれるのではないのか。