友人の話。
友人の会社に、本社から様子見にくる奴がいるという。そいつはいろんなやつからうわさ話みたいなのを聞き出し、本社の上層部に報告しているらしい。要は「間者」ってやつだ。
最近はそいつがいろいろ変な情報を流しているらしいことがなんとなくわかってきて、そろそろみんな口をつぐみ始めたらしいのだが、友人はどうしてもそいつの誘導尋問に引っかかってしまうらしい。とにかく腹がたってつい口を出してしまうという。以下、なんで釣られてしまうのか、友人の自己分析の話。
冷静になって分析したところ、どうも俺は会社内で気心がしれた奴を悪く言われたり、そいつを引き合いに出して話をされるのがダメっぽい。なんでかよくわからんが、自分のことを言われるより過敏に反応してしまう傾向がある模様。こんなの理由を考えてもしょうがないので、きちんとした対策をとらないとまずい感じだ。なんたって、気に食わなくても頭が悪くても苦手でも、相手は本社のお偉いさんだからな。
で、どうすりゃいいか考えた。出た答えは「バカで出来ないことにする」ってことだ。よくわからないんですよね、とか、どうすればいいんでしょうか、とか、そんな感じで答えておけばいいかな、と。多分アイツは俺(のほか数名)を陥れに来ていると思うので、下手に反論するよりは「出来ない」と思わせておいたほうが良いだろうと。アイツから出来ないってレッテル貼られたって、いろんなことは多分俺に落ちてくるからね。名を捨てて実をとる、あれ?違うかな? ま、そんな感じでいいだろという結論に達した。
多分、負けたくないみたいな感情が良くないんだと思う。というか、突っ込まれたくないことを見事についてくるんだよね、アイツ。がっちりガードも一つの手だけど、そこまでがっちり仕事したら体が持たん。というか、投げちゃおうかな、あの業務。俺じゃなくても誰か出来るだろ。そうだ。そうしよう。
なんて一人で納得してた。それでいいのか?
拙者は見ざる言わざる聞かざるに徹し、中村主水のように生きているでござる。
昼行灯とか種無し葡萄とか悪態をつかれながら、時々バサっとやっちゃうで候。
御免