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2008年03月13日

中間管理職を延命させているもの

[うんちくん]
IT導入にともなう“新”中間管理職不要論:増岡直二郎の「企業とシステムを救う ユーザーからの提言」:ITpro

中間管理職が悪者になって久しいですね。中間管理職は流通業でいえば中間卸業者、不動産でいえば中間斡旋業者のような中間搾取者として扱われることが多く、コストを引き下げのために排除されてしかるべき存在と捕らえられやすいのは事実です、理論で言えば。

とはいうものの、トップ<->平のようなフラットで中間管理職がいらない組織が本当に実現可能なのかはあまり言及されていないように思います。なぜ言及されないのか、それは多分に「現実には不可能な要素が多い」からでしょう。

実現を妨げている第一の要因は、そんなスーパーなトップはあまりいないだろうということです。規模がそれなりに大きな組織の場合、トップがスーパーマンもしくは独裁者でなければフラット化は困難でしょう。簡単に言えば、「あなたは中間に誰もいなくて200人使えますか?」ということですよ。そんなスーパーマンなんてそうざらにはいません。もっと言えばIT化ではフラット化など進みません。それどころかIT化で情報伝達だけフラット化を進めたら、トップに直接いろんなことが飛び込んできて仕事どころじゃなくなる可能性大です。スパムメ-ルフィルタのないメーラで、一日数千通メールが来たら処理できないのと同じです。また、以前のように終身雇用という従業員の奴隷化が出来れば拘束力に物を言わせてどうにか出来たかも知れませんが、今ではその拘束力さえありません。そして、組織の規模を小さくしたらそれは結局は中間管理職を置くのと同じです。

第二の要因としては、職場にいるのは能力のある人間だけではないし、能力がある人間だけでもうまくいかないということです。能力のある人材が欲しいのはやまやまですが、希望どおりになど行くはずもありません。よしんば能力のある人材が多数いたとして、それで期待どおりの結果がでるのでしょうか。例えば、サッカー日本代表がロナウジーニョ、カカ、クリスチアーノ・ロナウド、テベス、ロッシみたいな選手ばかりだったらうれしいですね。だけどそのメンバーで勝てるかどうかは別の話です。俺は勝てないと思いますよ。個の力とチーム力を高い次元でバランスさせたチームが強いのであって、高い個の力を集めただけではチーム力はあがらないでしょう。

第三の要因は、トップ自体が中間管理職を欲しがっているということ。これは第一の要因とも密接に関連しているのですが、トップにとっては中間管理職を束ねるだけのほうが圧倒的に楽です。実際かなりフラットな組織にしても、リーダー的存在というのは自然発生的に出てきます。組織は黙っていてもピラミッド型もしくは特定の主要人物を中心にしたスター型になっていくことが多く、それを無理矢理フラットにするほうに無理があるようにさえ感じます。

硬直した組織は弊害が大きいのは事実でしょうが、変えれば良いというものでもありません。黒沢の「七人の侍」のように、多種多様な役割を個人が受け持ち、そしてバランスが取れている組織を作ることが出来たら最高でしょう。なかには実際の業績にはさほど関与していないけれど、ムードメーカーのようにいるだけで作業効率があがる人だっているでしょうし、またそんな人は絶対に必要です。組織のバランスが取れていればお互いの役割を認め合い尊重しあうため、仕事の業績だけでは判断出来ない部分も多数出てくるはずです。そこまでいってこそ本当の意味でのフラット化が出来るのだと思います。

というか、フラット化が本当に実現可能で有意義なものであるならば、多分軍隊が一番最初にそうなると思うんですが、そんな話は聞いたことないです。中間管理職を悪者にするのは、それが悪者にしやすいからだけではないかと思うのですがどうなんでしょうかね。


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posted by oyajiman at 2008年03月13日 00:42:34



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