ITmedia アンカーデスク:「EMIは打つ手がなかった」——DRMフリー化と「CCCD」という無駄 そして日本は (1/5)
個人的にはCDはあまり聞かないのだけれど、なぜ日本のメディア関係はこれほどまでにコピーを恐がるのかさっぱり訳がわからない。
そもそもなぜCDが売れなくなったのか。上の記事では「娯楽の多様化によって、お金を払って楽しむ娯楽の代表的存在から、お金を払って楽しむ娯楽のOne of themになった」と書いてある。確かにそれは言えるかもしれない。だけれど、もっと大きな問題は、CDを所有するために支払う対価とその商品価値が見合っていないということじゃないのかと思う。平たく言えば「高い」のではないのか。
DVDなどは、安い奴だと1000円以下で購入できる。レンタル3・4回分位で一枚購入できるのだ。これは映画館に行くより安い。そんな値段でコンテンツを購入すれば、いつでも好きな時に観ることが出来るわけで、映画好きにしてみればうれしい話だ。
ではCDはどうかというと、安い映画のDVDより高い物が多い。コンテンツの制作費とかを考えても、映画の方がかなりの費用をかけて作っているだろうにである。好みの問題もあるが、客観的に見て、CDの方が割高だという印象を持たれても不思議では無い。
映画もそうであるが、そもそも日本のコンテンツは異常に高い。ハリウッドのDVDに比べ、邦画はなぜか2倍以上する。いい例が黒沢の映画で、東宝の物は最低でも1枚6千円台であるのに対し、ハリウッド製作の「夢」は1500円とかで売っている。なぜこんなにも差があるのか。
その点、ハリウッド作品の価格設定は明確である。商品価値が高いうちは高く売り、下がってきたら価格も下げる。市場で受け入れられる価格設定をきちんと行っているのだ。だから、CDの売上減は、コピーとかの以前の問題であるように思う。価格が価値に見合わないから、人は安く手に入れようとするのではないのか。
iTunes Storeだってそうだ。好きな曲を一曲だけ数百円で買える。アルバムと同じくらいの曲数をそろえたらCDの方が割安かもしれないが、ぱっと見た感じの価格は安い。この値段だったら買っておこうかな、そういう価格設定になっている。
コピーガードとか下らないことに気をつかう前に、如何にして販売数と売上を伸ばしていくのか、レコード会社はその商売の根底を忘れているとしか思えないのだが、如何か。