Linuxからアホ話まで、何でもありでござる

2007年01月17日

それは唐突にやってきた

[つれづれなるままに]
1月15日は比較的早く家に帰った。なんとなく調子が悪かったからだ。仕事が一段落した安堵感で疲れが出たのかも知れない。しばらくすると外で猫の泣き声がした。一番大きな猫のぽっちが帰って来たらしい。

寝る頃になって、子供が猫が一匹いないと言い出した。そういえば帰ってから見ていない。子供達が家の中を探していたが見つからない。

「ちょびいないよ。」
「押入の中にいるんじゃないの?ちょびあそこ好きだから。」
「探してみる。」

嫁と子供がそんな会話を交わしている。しばらくして、家の中に子供達の叫び声が響きわたった。今まであまり聞いたことのないような叫び声だったので、尋常でない事が起こったのは明らかだった。

二階に上がってみると、風呂場の脱衣所にちょびだった物体がいた。すでに事切れており、身体は死後硬直で固くなっていた。風呂の残り湯の中に落ちて溺れてしまったようだ。引き上げられたちょびだった物体はとても小さく見えた。目が薄くあいていたので、俺はちょびの目を閉じてやった。

みんなは変わりはてたちょびの姿を見て大泣きしていたが、俺は不思議と涙は出なかった。「もうちょびを抱くことは出来ないんだな。」そのことがとても寂しく思えた。今日なんだか身体の調子がおかしかったのは、ちょびが俺に何かを知らせていたからかもしれないな、俺はふとそう思った。

もう二匹の猫は、子供達の叫び声やその尋常ではない様子に驚いたのか、ベッドの下に隠れていた。ぽっちは、今まで聞いたことがないような声で俺を威嚇した。もしかしたらちょびの変わりはてた姿をみて、俺たちが殺したと思っていたのかも知れない。

家族が泣き疲れ眠ってしまったあと、俺はなんだか眠れずに居間に一人で起きていた。するとそのぽっちが居間にやって来て、外に出だしてくれと鳴き始めた。

「ぽっち、お前が外で遊んでいる間にちょびは死んじゃったんだよ。もうちょびはいないんだ。今日くらいはちょびのそばにいてあげなよ。これからはしろをちゃんと見ていてあげるんだよ。」

ぽっちは突然鳴くのをやめ、俺をじっと見た。

「もうちょびはいないんだよ、ぽっち。」

ぽっちは身動きひとつせず俺をじっと見ていた。そして最後に一声鳴いて二階に上がっていった。

それからしばらくして俺は布団に入ったが、なかなか寝つけなかった。ちょびが水に落ちた場面を想像していると、突然呼吸が出来ないような感覚に陥った。まるでちょびの意識が俺に流れて来たような不思議な感覚だった。もしかしたらちょびはしばらくの間、浴槽の中で泳いでいたのかも知れない。だけれども、冷たい水に体温を奪われ、眠るように死んだのではないか。せめて最後はそんなに苦しまなかったんだと思いたいのだ。

俺が帰って来た時には、空いている浴槽の蓋の間からはちょびの姿は見えなかった。だから俺が帰って来た後に溺れたのかも知れない。そういえば、なんだか変な泣き声が聞こえた様な気もするが、思い違いかも知れないし定かではない。もし俺が帰って来たときにすぐ風呂の準備をしていたら、ちょびは助かっていたのかも知れない。

もうちょびには会えない。ちょびが俺の指をしゃぶることは決してないのだ。俺にはちょびのことを思い出してやることしかできない。忘れないようにここに書いておきたいと思う。


ブログランキング・にほんブログ村へ
posted by oyajiman at 2007年01月17日 07:45:00



コメント

コメントはありません

トラックバック

トラックバック
このエントリにトラックバックはありません
このトラックバックURLを使ってこの記事にトラックバックを送ることができます。 もしあなたのブログがトラックバック送信に対応していない場合にはこちらのフォームからトラックバックを送信することができます。.

コメントする