Linuxからアホ話まで、何でもありでござる
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2005年12月30日

背任横領ではないのか

[だめだこりゃ株式会社]
だめだこりゃ社に某ノンバンクを紹介してきたのは、サブバンクとはまた別の都銀であった。金融機関からの回し者が、自分のつてに話を持ちかけたところ、その相手はその都銀とセットでノンバンクを紹介してきたのだ。

通常不動産売買を斡旋すると、その売買金額の数パーセントが紹介者に手数料として支払われるらしい。俺はこの金融機関の回し者がその知人を通してバックマージンをもらうつもりではないのかと思ったのだが、本当のところはわからない。しかし、会社の代表者でもないこの男が、会社の資産処分の話をどんどん進めていくのは非常に違和感があった。確かにだめだこりゃ社は実質的には金融機関の監視下に置かれた会社である。だが、このような話は、当然のことながら代表者からの委任状等がない限り進めるべき筋合いのものではないだろう。もし頭の切れる経営者であれば、この話がまとまりそうになったら突然手のひらを返して、この男に損害賠償請求だってできる話である。

この回し者、どう見ても社員のことなどまともに考えているとは思えなかった。社員のことより、金融機関、それも自分のお世話になったメインバンクの回収額しか考えていないようにしか見えなかった。

その予感は、のちに見事に的中したのである。

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2005年12月28日

ノンバンク現る

[だめだこりゃ株式会社]
だめだこりゃ社の莫大な債務を解消する手段は、債権者の債権放棄しかない。主たる債権者は言わずもがな金融機関である。だめだこりゃ社のサブバンクは某都市銀行である。ご存知の通り、都銀は地銀よりずっと早い時期に金融監督庁から不良債権の処理を迫られていたため、だめだこりゃ社の債権放棄については一定の理解を示していた。

しかし、だめだこりゃ社のメインバンクは頭の固い地銀である。金融関係者に言わせると、地銀は都銀と比べ約3年遅れているらしい。既に都銀は貸渋りや貸はがしの時代はとっくに終わり、企業の再生こそが自分たちの生きる道という流れに入っている。だが、地銀は不良債権処理さえまだ終わっていないのだ。

だめだこりゃ社は、この銀行のスタンスの違いに踊らされることになった。都銀の不良債権処理のタイムリミットは2004年3月。サブバンクはだめだこりゃ社の債権を早く処理しなくてはならなかったのだ。サブバンクが一定の理解を示したのはこういう理由もあるのである。

しかし、地銀は違う。債権放棄の先鞭をつけたくないのだ。それにサブバンクより一円でも多く回収したいという意図がミエミエであった。

だから、メインバンクは、だめだこりゃ社の金になる資産をいくらでも高い値段で売却させる必要があったのである。

だめだこりゃ社のジョーカーは、某政令指定都市の一等地に建つ物件、いや、その土地そのものである。B社が最初に名乗りをあげ、メインの思惑で次の候補も出てきた。しかしこの次の買手候補も、安くはないその値段に一気に及び腰になった。

すると今度は、金融機関の回し者のつてで、非常に強力な買手先候補が現れた。日本でその名を知らないものはいないであろうノンバンクの雄である。その会社は、金融機関からの回し者が小躍りするような値段を言ってきたのである。

しかしこの会社、情報を集めるとロクな話はなかった。外資系のハゲタカファンドと言われるところから、マフィアより性質が悪いとまで言われているようである。

この会社、最初はソフトかつジェントルマンにだめだこりゃ社に近寄ってきた。

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2005年06月07日

買手先候補

[だめだこりゃ株式会社]
銀行の回し者は、以前不動産関係の仕事の従事していたため、そのつてを頼って買手候補を見つけてきた。この回し者は自分の出身行の回収額を最優先で考えていた為、そのボーダーラインから話を持ちかけていたようだ。そのため、その候補は今まで交渉してきた相手よりかなりの高値をつけてきた。

その値段を聞いた経営者は小躍りした。だが、その値段はあくまで決定ではなかった。当然である。きちんとした調査をしない上で価格などつけられるはずはない。

この候補は、最初はちょくちょくだめだこりゃ社に顔を出すほど乗り気であった。だが、安い買い物ではない。価格に妥当性があるのか否か、この候補先はわかっていないようだった。当然この候補は、専門家にだめだこりゃ社の物件の調査を依頼した。そして、調査が進むにつれ、次第にこの候補先のトーンはダウンしていったのである。

銀行の回し者は、あまりにも交渉がお粗末であった。今までこの回し者の言う事はみんなが従ってきたのだろう。だが、それはこの回し者の後ろには金融機関の姿が見え隠れしているため、みんなしぶしぶながらも言う事を聞いているだけなのだ。この回し者の力ではない。それを自分の力と勘違いしていることが、全て交渉をおかしくしていったのを、この回し者は気がついていなかった。いい年をして情けない話である。この交渉力のなさが、この後も大きく響いていくのである。

結局この候補先の価格は、この回し者がもくろんでいる価格を大きく下回ることになってしまった。だめだこりゃ社は、新たな買手候補先を見つけなくてはならなくなってしまったのだ。

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2005年05月30日

迷走の始まり

[だめだこりゃ株式会社]
だめだこりゃ社はB社より紹介された弁護士を雇い入た。これで順調に話が進んでいくのかと思ったが、そうは問屋が卸さなかった。

だめだこりゃ社は建前では会社の存続と従業員の雇用の確保をお願いしていたが、金融機関から来たものは別の思惑を持っていた。その思惑とは、言うまでもなく債権回収額をいくらでも多くしたい、それだけである。B社が提示した内容では、メインバンクの取り分がさほど多くない。そのため、金融機関からの回し者は、どうしても担保物権に高値がつくようにしたくて仕方がなかった。

そこでこの回し者どもは、担保物権は別の買い手を探したいと言い出し始めた。B社から紹介された弁護士は、あまりこの手の話を実務として進めたことが無いようであった。そのため、この弁護士は回し者どもの意向を受け、交渉相手を探し始めたのである。

しかし、ここでも幅を利かせたのは金融機関からの回し者であった。自分のつてで担保物権売却候補先を探し始めたのである。通常、不動産売買の口利きは、紹介料としていくばくかの手数料が支払われるのが一般的である。うがった目で見れば、この回し者はだめだこりゃ社の取締役という立場にありながら、会社の資産を売って金を手に入れようとしているようにも見えるわけである。実際この取締役には、その後何度も仲介者から直接電話が入っているようだった。

B社としても、担保物権をコンペにかけるというのは想定外の出来事であった。もともとB社とは他の候補が現れないよう専属交渉契約を結んでおり、その契約を自分が紹介した弁護士に反故にされたのである。こう言った交渉の場合、変に役者を増やすとロクなことはない。

そして、ある売却先候補が現れたのである。

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2005年05月16日

資金枯渇

[だめだこりゃ株式会社]
だめだこりゃ社はB社が紹介してくれた弁護人と契約した。

通常、金融機関との交渉が開始されたと言っていいこの時点で、金融機関への返済や利子の支払はストップされる。そうしてキャッシュフローを少しでも増やしていかなくてはならない。

だめだこりゃ社の資金は枯渇寸前であった。俺は常識から言っても、すぐに金利支払ストップの交渉に入るものと思っていた。準メインも当然金利は止まるものと思っていたらしい。だが、メインバンクから来ている役員はそれを承知しなかった。そのため、結局メイン、準メインともに金利を支払い続けることになってしまった。

それどころか、メインバンクから来ている役員は、こともあろうに公租公課の引き伸ばしで資金の不足を埋めようとしていた。納税は社会に対しての会社の義務である。それが出来ないのであれば会社の存在価値などない。また、もし差し押さえなど食らったらそれこそお陀仏である。

この役員は、そのような社会的責任を放棄させてまで、自分の出身行を儲けさせたいのである。だめだこりゃ社の役員の顔をしているが、中味は全然違う。だめだこりゃ社は、こんな奴らに運命をゆだねてしまっているのだ。銀行はだめだこりゃ社なんてどうなっていいし、社員が路頭に迷おうと、取引先がどんなに迷惑をこうむろうとお構いなしなのだ。それが銀行なのだ。

俺は、代表者に「早く銀行関係者と縁を切ってください。」と申し入れた。出向者の引き上げはイコール会社倒産であるから、出向者は残しても交渉にはあたらせず、それ以外は退任させるべきだと申し入れたが、金融機関のしっぺ返しを恐れる代表者は決断しなかった。代表者は後々この金融関係者が最大のネックになるとは夢にも思わなかったのだろう。また、代表者は、多分いまごろになって後悔しているだろうと思う。誰の話が正しかったか、誰の意見を聞いておけばよかったか…だが、後悔しても遅いのだ。決定権は彼らにあったのだから。

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2005年05月14日

弁護士を雇う

[だめだこりゃ株式会社]
B社は、このままでは埒があかないと思ったのだろう。だめだこりゃ社に弁護士を雇うよう要請してきた。

だめだこりゃ社とて、一応会社である。顧問弁護士がいないわけではない。だが、こういった場合の弁護士は、当然その道にたけた人でなくては話にならない。だめだこりゃ社の顧問弁護士は労務関係が専門であり、M&Aについてはずぶの素人だった。

それどころかこの顧問弁護士は、話を進める上で交渉をしなければならなくなる金融機関の顧問もやっており、だめだこりゃ社の弁護人を受けるわけには行かない立場の人だった。だめだこりゃ社の経営陣は、既にこの弁護士に相談を持ちかけていたのだが、やんわりと断られていた。しかし、だめだこりゃ社の経営陣は顧問弁護士の話の中味を理解できず、「ウチの先生が引き受けてくれるだろう」と思っていたのだ。その場にいた俺は、俺よりずっと長い時間生きているにも関わらず、相手が何を言わんとしているのか理解できていない経営陣に対して唖然とするしかなかった。

B社は「もしアテがないのであれば、弁護士を紹介しましょうか?」と言ってきた。

交渉相手から差し向けられた弁護士など、危なっかしくて使えたもんじゃないと俺は思った。だが、だめだこりゃ社の経営陣は、なんとその申し出を受けてしまったのである。

このことは誰に聞いても首を傾げられてしまう。敵から送られた人間に交渉を任せるなんて、常識では考えられない。百歩譲ってだめだこりゃ社の社員のために、B社に全てを任せるのであればそれでもいいだろう。話がまとまるのであればそれでも良かったのだが…

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2005年05月07日

監査の結果

[だめだこりゃ株式会社]
B社は約一週間、だめだこりゃ社の会計監査を行った。だめだこりゃ社はこの一週間で丸裸にされてしまったのだ。

しかし、だめだこりゃ社は金融機関がらみで少しいじってあるところがあるくらいで、根本的には大きな粉飾決算はしていない。監査法人の監査報告も、大きな問題点は無いとの報告のようだった。

監査終了後、すぐにB社からだめだこりゃ社の融資の申し入れに対しての回答がされた。

答えはNoであった。

この回答を聞いた金融機関出身のだめだこりゃ社の取締役は憤った。激昂しB社をののしった。交渉とはいえ、相手は弁護士も立てて正式な回答をしているにもかかわらず、取り乱し暴言を吐いた。B社のだめだこりゃ社に対する心象は、この取締役のせいでますます悪くなってしまった。

この取締役は、金を出してくれると思い込んでいたのだろう。だめだこりゃ社が潰れないよう、助けてくれると思い込んでいたのだろう。平気で企業を潰す金融機関出身の癖に、いざ自分に火の粉がかかってくると人の金ばかりあてにする。笑止千万である。この取締役はだめだこりゃ社の経営を任されているのだから、業務で金を生み出していこうと思うのが普通であるはずなのに、そんなことは全くせず人の財布だけをあてにする。全く持って信じられない話である。

結局B社のスタンスは変わらず、だめだこりゃ社は何が何でも自前で資金を回さなくてはならなくなってしまったのである。

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2005年04月23日

資金ショート

[だめだこりゃ株式会社]
B社との交渉は、某取締役の妨害とも思われる対応で遅々として進まなかった。しかし、その間にもだめだこりゃ社の資金繰りはどんどん悪化していった。

交渉に入って既に半年が過ぎた頃、ついにだめだこりゃ社の資金が底を突く日が来た。この日は半年も前にB社が予測していた日とほぼ同じくらいであった。予測された資金ショートの前に決めてしまいたかった話のはずだが、某取締役に伸ばしに伸ばされた結果、ついにその日が来てしまったのだ。

だめだこりゃ社の経営陣は焦った。とにかく金をつながなくてはならないのだ。高飛車だった某取締役もさすがに焦ったようで、B社に直接出向き、何とか支援をお願いしたいと言い出す始末であった。しかしB社とて慈善事業をしているわけではない。金を貸してくれと言われて「ハイわかりました」などと言うはずもない。

B社はなかなかしたたかであった。だめだこりゃ社からの資金援助の申し入れに対し、「監査を入れて調査の上判断したい」と回答してきたのだ。それは何を隠そう、資金援助の申し立ての回答のためではなく、今まで調査出来なかった分を一気に取り戻そうとしているだけなのだ。大体、潰れるかもしれない会社に金を出すバカがどこにいるというのか。未回収になる可能性のあるところに、金など出すはずがない。また、変な融資などしたら、それこそ株主訴訟を受けるかもしれないのである。

そんなこともわからないだめだこりゃ社の経営陣は「うちが潰れるとB社も困るんだから出してくれるはずだ」などと甘い考えを捨てきれていなかったのである。

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2005年04月14日

小さな亀裂

[だめだこりゃ株式会社]
だめだこりゃ社の経営陣、特に金融機関出身の取締役は、B社に対してあまりいい感情は持っていないようであった。B社の担当は言いにくいことでもズバッと切り出すところがあった。長年に渡って据え膳上げ膳で持ち上げられてきたこの取締役にとって、三回り近く歳の若いものにきついことを言われた経験は持ち合わせていなかったのでないかと思う。

この取締役はことごとくB社のリクエストを拒んでいった。B社としては当然ながら動産、不動産の価値を調べる必要があるわけだが、その調査にさえ協力しようとしなかった。それではB社が正確な対価を算出できるはずもないのにである。

しかしB社はだめだこりゃ社の対応のまずさを決して責めたりはしなかった。本来であれば信義則に反するということで交渉決裂になってもおかしくない状況なのに、我慢強く交渉を続けた。

それでもだめだこりゃ社の某取締役の応対はかわらなかった。B社の担当にはけんか腰で話をする。都合が悪くなれば開き直る。それどころか「あの担当者は生意気だ。」とまで言い出す始末だった。

俺はある日、B社の担当に「あの取締役では、この交渉はまとまりにくくなると思いませんか?」と聞いたことがある。B社の担当は「難しい交渉になりますね。でも、あの人は御社のキーマンですからね。」と言葉を選びながら答えた。だめだこりゃ社の某取締役とこの担当、どちらのほうが大人の対応であるか思い知らされる言葉だった。

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2005年04月10日

再生スキーム作成の遅れ

[だめだこりゃ株式会社]
B社はだめだこりゃ社の意向をきちんと聞いてくれた。債務を圧縮するには民事再生法適用が一番いいのはわかっていても、だめだこりゃ社の意向を汲んでくれたのである。また、これは、B社は本気でだめだこりゃ社が欲しかったのだともいえるだろう。

こう言った話を進める場合、弁護士、会計士、税理士、労務管理士などの協力は絶対に必要である。特にだめだこりゃ社のように古い体質のオーナー企業は、まず数字は粉飾されていると思って間違いない。とりあえず金さえあれば会社は回る。しかし、ある期日をもって経営母体がかわるとなれば、その時点の価値を算出しなくてはならない。今までベールに隠されていたものを白日の元に晒さなければならないのだから、全ての膿が一気に噴出すのは当り前の話である。法的な問題や会計上の問題、労務問題など、一気に噴出した膿を解決していかなければならない。そんなことは専門家でなくては出来ないのは誰でもわかる話である。

また、通常、対価の計算は買収先、売却先双方で行いすり合わせるものである。これも常識だ。適正な価格の取引でなくてはならないのだ。

しかし、ここでもだめだこりゃ社の経営陣は一向に専門家に頼もうとしなかった。
「話が漏れる」「まだ次期早々だ」
そんなことを理由に、社員で対応させたのである。医者でなければ病気の治療はできないのに、そういうことさえだめだこりゃ社の経営陣はわかっていなかった。

また、だめだこりゃ社の経営陣は情報開示をためらった。
「こんなこと言わなくてもいいだろう。」
「そんなこと教える必要はない。」
こんな調子であるから、B社とのやり取りはスムースに行かなかった。そうこうしているうちに、どんどん日数だけが過ぎていったのである。

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2005年04月05日

B社からの提案

[だめだこりゃ株式会社]
しばらくして、B社は資産を買い取るファンドと一緒にやってきた。だめだこりゃ社再生の大まかなスキームがまとまったというのだ。

早速だめだこりゃ社の経営陣を集め、そのスキームについて説明を受けることになった。

だめだこりゃ社の再生は、年間売上に匹敵する銀行債務の圧縮をまず最優先に行わなくてはならない。これは馬鹿でもわかるのだ。では、どうやって借金を圧縮するのか…

B社は3つのスキームを用意してきた。ひとつは「私的整理」による再生、あとは「民事再生法」を用いた方法が2つであった。その中で、B社はスポンサーつき民事再生法の適用を勧めてきた。

これは非常にあたり前の選択である。金融機関の有利子負債圧縮が大きな目的のひとつであるから、金融機関が納得できる形であることが一番良いのだ。経済合理性という面ももちろんある。しかし、それ以上に事なかれ主義サラリーマンがはびこる銀行において、「出世に響かず判子が押せる」という事は大きいことなのだ。民事再生法のもと、裁判所が決めたのであれば銀行は黙って判子ことができるのだ。民事再生法を適用しましたとなれば、表面上は抵抗を示すだろうが内心はほっとするはずなのだから。

しかし、だめだこりゃ社の経営陣、金融機関から来た経営陣は「民事再生法」適用には強い難色を示した。商売が毀損するというのである。

確かにだめだこりゃ社は、商売の契約で民事再生法の適用などをした場合、契約が打ち切りになるというものも多いのは事実である。しかし、この理論はまったくのでっち上げであり他意があったことはのちのち判明することになる。

その理由をたてに、だめだこりゃ社の経営陣は「私的整理による再生」を前提として、4つの条件をつけたのである。
1、従業員を守ること
2、業者を守ること
3、社名を継続すること
4、オーナーの立場を守ること

これがその4つの条件であった。

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2005年03月11日

全社ぐるみで

[だめだこりゃ株式会社]
B社は早速動いてきた。B社はなんと正式な価格提示の日に、あれこれ難癖のようなことをつけてきたのだ。
事業の譲渡は債権者の同意が得られなければ成立しません。また債権者が同意しても収益事業の譲渡によって会社が存続できなくなった場合、債権者、つまり銀行が株主から訴訟を受けることもあります。」

言われればそのとおりなのだが、とにかくB社は事業の譲渡には応じられないと言ってきたわけだ。
しかし、御社の再建に何かご協力できることがあれば、前向きに検討させていただきます。

だめだこりゃ社の経営者はピンと来ていないようだった。本当に鈍い奴らである。B社の担当はさらにいろいろな説明を加えた。

しばらくして、やっとだめだこりゃ社の経営陣はまるががえならやってもいいと言っていることがわかったようだ。

平たく言えばM&Aである。しかし財務面が逼迫しているだめだこりゃ社に選択の余地はなかった。

こうしてだめだこりゃ社は会社譲渡に向け走り出すことになったのである。

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2005年03月04日

次のステージへ

[だめだこりゃ株式会社]
だめだこりゃ社のもくろみは見事失敗に終わった。提示された額では事業再構築の源資をひねり出せないばかりでなく、運転資金にさえ不足するのではないかと思われた。それどころか先方からはやんわりと「収益部門を譲渡するということは債権者側から異議申し立てが出る可能性もありますし、もし債権者が同意したとしても今度は株主から訴訟を受けることもあるのです。」と断りに近い言葉まで出る始末である。

だめだこりゃ社の経営陣には、掻く頭はあるが次の手を考えるだけの頭はなかった。

B社は最近M&Aにより事業規模を拡大してきている実績があった。そこで我々はその交渉後、B社の担当に「この会社を助けてもらえませんか?」と持ちかけてみた。俺はB社の担当の顔つきが変わったのを見逃さなかった。

「それは私的整理ということですか?」先方は明らかに乗り気である。

我々はこのままでは会社自体が危ないことを伝え、会社生き残りのための手は無いのか、何かあるのであれば提案いただきたいという主旨のことを伝えたのである。

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2005年02月19日

提示された価格

[だめだこりゃ株式会社]
価格提示の期日が来た。

A社は社長と担当者がやってきた。社長がくると聞いたとき、「ああ、こっちは降りるな」と直感した。実際その一社の提示価格はだめだこりゃ社の希望を大きく下回るものであった。こういった閉めの話であるから社長自らやってくるのだ。

だめだこりゃ社はもう一方のB社に期待をかけた。少しでも高い値段で売却し運転資金とあわよくば事業再生にまわしたい、そう考えていた。B社からは担当と専務がやってくることになっていた。これは期待が持てるかもしれない、俺はそう思った。

B社の説明が始まった。B社の会社説明から始まり通り一遍の話が終わった後、提示された価格はA社と大差の無い価格であった。

そもそも将来価値の算出など、どこがやったってそんなに大差が無いものだ。だからこの結果は至極当然な結果なのだ。価格に差があるとすれば、それは相手がその事業をどれくらい欲しいと思っているかの差だろう。買えば儲けるという算段がなければ高値をつけるはずはないのだから。

ある程度の高値を夢みていただめだこりゃ社の経営者は落胆した。例えるなら高価なお宝だと思っていた宝石が実はイミテーションであったと鑑定されたようなものだ。自分たちの事業が外部の目で客観的にかつ冷静に計られた金額はだめだこりゃ社の経営者にはよほどショックであったらしい。「そんな値段はないだろう」とまで言い始める始末であった。しかし出てしまっている実績数値を変えられるはずもなく、そんな言葉は負け犬の遠吠え程度でしかないのだ。そんなこともわからない経営者を見るていると哀れにさえ思えた。

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2005年01月29日

売却先候補との交渉

[だめだこりゃ株式会社]
だめだこりゃ社は事業売却先の候補2社と交渉を開始した。だめだこりゃ社の財務は資金面での危機を相変わらず唱えていた為、だめだこりゃ社も売却先候補に価格の提示を急がせた。

事業売却する場合、そのDD(デューデリジェンス)には少なくとも2ヶ月はかかる。土地や建物の資産評価は当然のことながら、営業権の評価を過去の実績を元に将来価値を見込むのであるから時間がかかって当然なのである。但し、今きちんとDDできるところは少ないのではないかと思う。資産や会計上の調査、つまり会計監査は出来るだろうが、将来価値まで算出できるところは外資系を除いては数えるほどしかないだろう。

当然交渉先の2社もきちんとしたDDをする時間が十分にあるとはいえなかった。それでも資金が続かないとなれば急がねばならない。まずは2社と秘守義務契約を結び、膨大な資料のやり取りが始まった。

通常このような交渉の場合、税理士・会計士・弁護士・労務管理士などを加えた社内の特別チームが組まれるのが普通である。しかしだめだこりゃ社は愚かにも社内の人間だけでやろうとしていた。このガードの甘さがのちのち大きなリスクを背負い込むことになろうとは、だめだこりゃ社の経営陣は想像だにしなかったに違いない。このようなリスク管理出来ないからこそ今のような状態にはなっていることさえ理解していないのであるから当然といえば当然である。

だめだこりゃ社は必要な書類の管理もずさんな経営状況を鏡で写すようにひどい状況であった。その状況の中、だめだこりゃ社のチームは資料をかき集めた。このような話は社内に漏れてはいけない話なのであるが、今まで出せといわれたことのないものをかき集めているのである。勘のいい人間は不穏な空気を感じ取っていた。

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