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2011年11月14日

のへじのVT250F

[思い出のマシン]

このVT250Fは、「のへじ」という後輩が乗っていた。なんで「のへじ」かというと、いつものへーっとしていたからなのだが、その辺りは昔書いた記憶があるので「のへじ」でサイト内検索でもしてもらえれば出てくるかもしれん。

さて、このVTはホンダの90°V型2気筒エンジンを積んだ名機だ。そのエンジンは驚くほど良く回り、トルクもそこそこあった。ホンダのスポーツ系がV型エンジンにシフトしていくきっかけとなったマシンかもしれない。開発者の話をなにかで読んだが、このVTの開発期間は半年足らずだったという。90°の挟み角のエンジンは理論的に一次振動が0で、クランク幅も並列2気筒よりも短く出来る。開発中のエンジンはどこまで回るんだろうと思うほど良く回ったらしい。

ブレーキはCBX400Fでも採用されたインボードベンチレーテッドディスクを採用。フロントにはビキニカウルを装備し、赤いパイプのダブルクレードルフレームが斬新だった。フロントはその当時流行りかけていた16インチを採用、スリムで高い旋回性を誇った。

このVT、回すとそれなりに速かったしツーリングでもバッチリ、とにかく乗りやすくてオールマイティであった。理論上一次振動0とはいうものの、それなりの振動を感じない訳ではない。しかしその振動は排気音などから感じる部分が多く、実際は90°V型らしくどの回転域でも極めて振動は少なかった。俺もVFR以降しばらくV型ばかり乗っていたが、久々に並列4気筒のCBRに乗ってみて改めてその振動の大きさに驚いた。並列4気筒も振動が少ない部類のはずなのだが、90°V型の振動の少なさは次元が違うものなのだ。

のへじがこのVTを買ってすぐ、俺はのへじを誘ってプチツーリングに出かけた。のへじは免許取り立てだったので俺もさほど飛ばさず、かつのへじの無理なペースにならないようバックミラーでのへじの様子を頻繁に確認しながら走っていた。だが、とある緩いコーナーで、なぜかのへじは路肩のほうに吸い込まれて行くようにアウトに膨らんで行った。こういうときは全てがスローモーションになるのだが、FEARのスローモーのように自分もスローモーションになるので助けに行くことはできない。げげげ、なにやってんだアイツ、と思ったときには時既に遅し。新しいマシンはグチャッっと地面にキッスし、のへじは地面に投げ出されてしまった。なんということだ。おニューのマシンがもったいないじゃないか。

とりあえず俺はマシンを止めのへじの元に駆け寄ったのだが、のへじはのへーっとしているだけで倒れたマシンを起こそうともしない。しかたがないので俺がマシンを起こし、ついでにマシンのダメージも確認する。ブレーキレバー、ハンドル、マフラー、ステップ、カウルなどに転倒痕が残っているが、エンジンはかかるしフロントフォーク等の曲がりもなさそうだ。相変わらずのへーっとしているのへじを正気にもどし、簡単な修理を行うべく俺の住む大学寮まで連れていく。初心者を引っ張り回して転倒させてしまった罪悪感のようなものを感じた俺は、数時間かけてVTの修理をしてやった。それなのにその間のへじはそんな俺を尻目に居眠りこいていた。

罪悪感が怒りに変わったのは言うまでもない。


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posted by oyajiman at 2011年11月14日 23:00:00



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