Linuxからアホ話まで、何でもありでござる

2007年09月14日

まるで黒沢の「羅生門」だ

[つれづれなるままに]
あの秋田子殺し事件の公判が始まったようだ。

最初は検察側の冒頭陳述である。被告人の身上・経歴等(彩香ちゃんに愛情感じず 鈴香被告公判検察側冒陳)からはじまり、彩香ちゃん殺害後の状況および豪憲君殺害などに至る経緯等(「お母さん」と叫びながら落ちた彩香ちゃん 鈴香被告公判検察側冒陳)までが述べられたようだ。特に『彩香ちゃんは、「お母さん」と叫び声を上げながら真っ逆さまに落下し…』のくだりにはかなりインパクトがあったと言えるだろう。実際2ちゃんねるでも盛り上がったようだ。

彩香ちゃん、「お母さん」と叫びながら落ちていった…秋田子殺し事件参照)

このスレッドの中でも
最後まで母親を信じていたであろう女の子

○真冬の夜中、母親の折檻を受けて外に追い出されて泣いていた女の子。
○朝、母親に起こして貰えず遅刻しても、泣きながら学校へ通った女の子。
○学校給食が唯一のごちそうだった女の子。
○たまに与えられる食事はカップラーメンで、近所で家畜用のパンの耳を貰って美味しそうに食べていた女の子。
○カップラーメンのお湯が無くて、途方に暮れて外をとぼとぼ歩いていた女の子。
○お湯がどうしても手に入らないときは、カップラーメンを生で囓っていた女の子。
○空腹のため学校で倒れた事がある女の子。
○汚い洋服を着せられて、風呂にも入れて貰えず悪臭を漂わせていた女の子。
○給食代や修学旅行の積立金を払えなくても、母親をかばおうとした女の子。
○真冬雪が降る中、外に出されて震えているのを、近所の人が見かねて車に乗せようとしても母親に気を遣ってかたくなに拒んだ女の子。
○十円玉と一円玉が数枚入った、小さな青い財布を宝物のように大切にしていた女の子。
○店先で無料の飴を貰うとき、自分の分の他に必ず母親の分も貰ってうれしそうにお礼を言った女の子。
○親子同伴が条件のプールへ一人で行って入場を断られたとき、母親の病気のことを説明して母親の悪口は誰にも言わせまいとした女の子。
○母親と出かけた時、母親に話しかけても手を差し伸べても無視され続けた女の子。
○お菓子を手に入れたときは自分で食べずに近所の大人に「これ、あげる。」と言って、会話の相手になって貰おうとした女の子。
○やさしそうな山菜取りのお年寄りに、会話の相手になって貰えるとうれしくてその後をついて歩いてしゃべり続けた女の子。
○いつも一人でしゃべりながら、いつも一人で遊んでいた女の子。
○下校時間、同級生のグループからぽつんと離れて、一人でとぼとぼ家路をたどっていた女の子。
○ブランコ乗せてくれたり遊んでくれたり、小さな子にとっては優しいお姉さんだった女の子。
○特定の男の子に背中蹴られたり顔に雑巾ぶつけられたり執拗な苛めを受けても、黙ってそれに耐えていた女の子。
○苛められても何を言われても黙って下を向き、時々涙をぽろぽろと流していた女の子。
のくだりは、より一層の悲しみを誘うのに十分過ぎるほどである。

しかしその感傷的な気分も、鈴香被告弁護側冒頭陳述で一気に現実に引き戻される。
父親、元夫に虐げられ…自殺図るも失敗 鈴香被告弁護側冒頭陳述
彩香ちゃん払いのけ、視界から消える 鈴香被告弁護側冒頭陳述
「非道極まる取り調べ」 鈴香被告弁護側冒頭陳述
検察側の主張とは大きな食い違いをみせる弁護側。この段階でどちらが本当かは全くわからなくなる。

この展開、まるで黒沢の「羅生門」そのものだ。映画では最後に真実(であろう話)が語られるのだが、この事件の真実は鈴香被告しか知らない。そして、人間の記憶は非常にあいまいなものなのである。鈴香被告以外、誰も真実はわからない。



ブログランキング・にほんブログ村へ
posted by oyajiman at 2007年09月14日 02:28:57



コメント

コメントはありません

トラックバック

トラックバック
このエントリにトラックバックはありません
このトラックバックURLを使ってこの記事にトラックバックを送ることができます。 もしあなたのブログがトラックバック送信に対応していない場合にはこちらのフォームからトラックバックを送信することができます。.

コメントする