Linuxからアホ話まで、何でもありでござる
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2005年01月25日

事業売却するしかない

[だめだこりゃ株式会社]
だめだこりゃ社の経理からは年明けにも資金がショートしてしまうとの報告がなされていた。しかし金に変えられる資産はもうほとんどなく、だめだこりゃ社の経営陣は焦りに焦っていた。

だめだこりゃ社は以前に会社を再生する手法のひとつとして民事再生法も検討している。しかしその検討の場では民事再生法は出来ないという話になっていた。確かに民事再生法でいく場合ある程度の自己資金がなくてはならない。支出の面では業者への支払や給与などは自己資金でまかなわなければならず、米びつに米がない今の状態で申請しても行き詰まる可能性も高かった。また収入の面でも民事再生にかけると今までの商売が続かなくなってしまう可能性も否定できなかった。

しかし、これは法的にもっていかれて回収額が減ってしまうのを嫌ったメインバンクの思惑が大きく影響していたのである。今になったからこそいえるが、民事再生で資金が続かないと言ったのも商売に影響すると言ったのも銀行からの出向者なのである。

実はだめだこりゃ社には最後の切り札の資産がある。この資産は比較的大きく、また将来的な価値も見込めるものである。しかしこの資産はメインバンク以外の金融機関が第1優先権の担保をかけている。しかし、債権額は圧倒的にメインバンクのほうが多いのである。つまり民事再生でいった場合、無担保に近いメインの取り分は極端に少なくなるのだ。それはメインとして絶対に避けたいことなのだろう。

事業売却といえば聞こえはいいが、つまりは会社の切り売りである。普通であればその会社にとって不必要な事業を売却するのであろうが、金のないだめだこりゃ社が金を作るにはそれなりの価値のある事業を売却しなくてはならない。当然だめだこりゃ社のなかでは比較的収益性の高い事業ということになる。

会社の再生を考えた場合、収益性の高い事業を手放すなどということは絶対にしてはならないことだ。不採算部門だけを抱えた会社が建て直るはずもない。しかしメインバンクにしてみれば収益性の高い事業だけでも売却させておけば破産になった場合でも影響が少ない上に、うまくいけばある程度の回収も出来るかもしれないのである。

そういったメインの思惑通り、愚かにもだめだこりゃ社は事業の一部を売却して資金をつくることに決め、早速買ってくれそうなところをピックアップしコンタクトを取ることになったのある。

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2004年12月27日

メインはあてにできない

[だめだこりゃ株式会社]
メイン銀行の支店長にだめだこりゃ社再建の望みを託してみたが、その後俺は改めてメイン銀行の古い体質を認識させられることになる。俺が望みを託した支店長は、だめだこりゃ社にきている銀行出身の取締役に対して何度か直接意見をぶつけてくれたようだ。しかしその支店長は3月の人事異動で他社へ出向を命じられた。OBに意見するとこうなるんだよという見せしめなのかもしれない。

だめだこりゃ社の資金難はますます厳しくなり、業績も一向に改善しない。

そこでだめだこりゃ社は、事業再構築の資金や運転資金を作るために、またまた事業の一部売却を検討し始めたのである。

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2004年12月03日

飛び込み

[だめだこりゃ株式会社]
俺はその計画書を手に、メインバンクの支店長に会った。本来であればとんでもないことだ。会社幹部を飛び越え、一介の社員がメインバンクの支店長と会って会社のことを話すのである。首になってもおかしくない話である。

メインバンクの支店長はその計画書にさっと目を通しただけであったが、とりあえずは話を聞いてくれた。俺は、今後きちんとした事業の再構築ができれば十分再生可能であること、そのためには人員整理を含めた多少の資金が必要であること、その資金は数年で十分回収可能であることなどを説明したが、支店長にとってはごく当り前の話であり、逆に何でわかっていて進めないのかと質問された。

「それは誠に言いにくいことでありますが、御社のOBであります取締役がなかなか乗り気にならないからです。」

俺は問題の根源をはっきりと述べた。この取締役が全てをおかしくしているのは、誰の目からも明らかなことなのだ。

支店長は少し困ったようなそぶりを見せ「そんな人じゃなかったんだが…。彼も歳をとったのかなぁ。」といった。

「一番確実なのはリストラなんだよね。リストラはやればやった分だけ効果が出るものだから。それを御社も進めなきゃならないことは、彼もよくわかっているはずなんだけどなぁ。」

「取締役は人を大事にするかたですからなかなか決断できないのは致し方ない面もあるかと思いますが、そう言っていられる状況ではありません。また、非常に冷たい言い方ですが、こういう状況にまで持っていってしまった責任の大部分は現在の要職についている方々にありますので、交代もやむをえないのではと思っています。我が社のオーナーも経営を御社OBの取締役に任せた以上、なかなかはっきりと意見できないのが本音のようです。誠に勝手ではありますが、メインバンク様のほうから取締役を説得していただけませんでしょうか。」

俺は言葉を選び答えた。

この支店長はOBの権力が強いこの銀行のなかでも比較的骨のある人で、我が社に訪問して直接このOBの取締役に意見をしたりしたことがあった。俺はその力にすがってみたのである。

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2004年11月24日

メインバンクの真意

[だめだこりゃ株式会社]
社長はいくら詰め寄っても自分で決断することはなかった。それどころか、その計画を銀行出身の取締役に見せてしまったのである。その取締役はその計画には全く関心を持たないばかりか全否定してきた。そんな計画は実行できるわけないというのがその取締役の言い分だった。企業は事業規模が重要で、規模縮小したら企業が持たないと言うのである。

しかし拡大路線からの方向転換は、バブルが崩壊してからどの企業もやっていることだ。この取締役が言っていることは高度成長期の理論である。そのような取締役に会社の命運をかけてよいものなのかはなはだ疑問であった。

また、この取締役は人を整理することを極端に嫌がっていた。主要ポストについている人間がいなくなっては会社が回らないと言うのである。しかしこれもおかしな理論である。その人間たちが会社をおかしくしてきたのである。そんな人間もともと不要なのだ。それに仕事なんて誰がやったってそれなりに回るものだ。まずやらせてみてからダメであれば替えればいいだけである。そのような人事の活性化なくして会社の再生はありえない。

結局のところ、この取締役は会社立て直しよりも出身であるメインバンクを重んじているとしか思えなかった。この取締役とてバカではない。だめだこりゃ社が大変なのは身の丈以上の借入金があるためだということは十分認識しているのだ。建て直しのためには債務の圧縮が大前提なのである。それには金融機関に泣いてもらわなければならない。それが嫌なのである。会社のことよりもメインバンクにおける自分の立場のことを重んじているのだ。この取締役はだめだこりゃ社を建て直すと言うことは建前で、結局のところはメインバンクが損をしないようにする為にだめだこりゃ社にいるのであろう。

この取締役がメインバンクのことを最優先と考えていると言う根拠は他にもある。だめだこりゃ社は100%子会社の資産管理会社が別にあった。100%子会社があるということは、そちらに債務をくっつけて会社を清算してしまえば債務を消すことができる。金融機関にとっては一番やられたくない手段である。経営状態が苦しくなっていることを十分承知のメインバンクは、債務超過を消すということを建前にこの子会社を合併しろというスキームを出してきた。この取締役はこの話をどんどん進め、だめだこりゃ社は昨年度末にこの子会社と合併した。詳しい人はわかると思うが、逆さ合併で債務超過をチャラにしたのである。これでだめだこりゃ社は債務圧縮スキームの有効な手段をひとつ消されてしまっていたのだ。

本来であれば、金融機関の債権放棄は一時期的なものである。それよりも各種手数料・金利などの収入を恒久的に得られるよう継続して取引を続けていったほうが双方にとって有利なことは間違いない。金融機関、特に今後不良債権処理のターゲットとなる地方銀行はそのことを忘れてしまっており、金融監督庁から突っ込まれないようにすることが最大の懸案事項になってしまっている。だから不良債権さえ処理できれば会社なんてどうだっていいのである。現在の金融機関は企業への融資を押さえ込んでいる(いわゆる貸し渋り)ため融資による金利収入が落ち込み、やむなく国債への投資や個人への融資などで利ざやを稼ごうとしている。企業もバカではない。特に優良な企業になればなるほど間接金融から直接金融へ資金調達の手法をが変えてきている。要は客離れを起こしているのだ。それなのに自分からお客を捨てる、これが今後どういう結果になるか考えたほうがいいだろう。

吸い取るだけ吸い取った後に資産を売り払わせ担保分の債権を回収し不良債権を処理する。メインバンクはこれしか考えていないのは誰が見ても明らかだった。しかし、だめだこりゃ社の経営陣のなかでそのことを口に出す者は誰一人いなかったのである。だめだこりゃ社の経営陣は、メインバンクはいつまでたってもだめだこりゃ社の味方だと言い張っていたのだ。おめでたい限りである。

そこで俺はある決断をしたのだった。

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2004年11月23日

有志による再建計画

[だめだこりゃ株式会社]
だめだこりゃ社の業績は一向に改善しなかった。事業所の閉鎖などで収入の落ち込みがひどく、改善はしているものの数字になっては現れてこない。

俺はある人からのアドバイスをもらい、独自に再建計画を作成し始めた。外的要因により事業所閉鎖が続くだめだこりゃ社であったが、その流れの中で座して死を待つのだけは避けたかった。大規模な事業規模縮小による収益体質を改善する。それが独自計画の柱だ。

収益体質を改善した上でなければ法的な手段(民事再生法など)は難しい。法的手段を用いると銀行との取引は停止となる。給料や仕入など大きく金が動く時、自前で金を持っていなくてはならないのだ。その金を捻出するにはとにかく金を貯めなければならない。それも金融機関にばれないように貯めなければならないのだから大変である。金を貯めるには儲けを増やして金を残すしかないのである。潰れそうな会社に金を貸す人はいないのだ。

俺が独自計画を作成し終わったのは昨年10月のことだった。俺はその資料を社長に見せ、この資料を持ってメインバンクと話し合いを持って欲しいと言った。

社長はその計画自体には難色を示さなかったが、銀行出身の取締役に相談すべきだと言い始めた。それでは本末転倒である。俺は「金融機関がダメだから独自に作成したのだ。金融機関と張り合う腹がなくては何もすすまない。ここは代表権を持つ社長の決断で決めて欲しい。」と詰め寄った。

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2004年09月14日

金融機関の罠

[だめだこりゃ株式会社]
思い起こせば、全ての事の始まりは、金融機関から出向できた財務部長が来た事だった。

だめだこりゃ社はそれまで銀行からの借入はほとんど無く、自己資金で全てをまかなう会社であった。その頃のメインバンクは、今のサブ銀行であったのだが、だめだこりゃ社はあまり取引の無かった地方銀行からの出向者を受け入れることになった。どういういきさつであったのかはわからない。この財務部長が来てから、いままでさほど取引の無かったこの地方銀行からの借入は倍々ゲームのように膨らんでいったのだ。

その頃はバブル絶頂期で、だめだこりゃ社の資産価値もとんでもないほど大きかった。それを担保にすると言えば、銀行はどんどん貸してくれたのだろう。借りるほうも借りるほうだが、貸すほうも貸すほうだと言えよう。しかし、バブルがはじけ資産価値がガタンと落ちると、銀行は手のひらを返して回収に回ってきた。

そもそも運転資金を借金でまかなっている会社が、突然貸し出しは出来ないといわれたらお手上げ状態になることは、誰が考えたってわかることだ。それも、金融機関が借金経営しなければならないような状況にまでしておきながら、突然はしごをはずすのだから卑怯以外のなんでもない。人を送り込み、借金を増やさせ、最後ははしごをはずす。これが銀行のやり方なのだ。

その後の状況は、今までも書いたとおりである。その地方銀行は、その後もだめだこりゃ社に人を送り込み、だめだこりゃ社の経営を握ってきたのだ。ある面では「経営改善の為」と捕らえられなくも無いが、本当の意味は「逃がさないように」だろう。会社を潰して借金を踏み倒される事があってはならないから、動けないようにしたのだ。吸い取るだけ吸い取って、最終的には会社を潰してしまえ、これが本音だろう。債務部長が来てから、だめだこりゃ社の支払関係、給与の振込などの業務は、ほとんどこの地方銀行に移されていった。手数料だけでも相当のものである。金の出し入れを捕まえて置けば、会社の生命線を握ったと同然であるし、その上金利も手数料も入ってくる。こんなにおいしい商売はない。吸うだけ吸ったら捨てればいいのだ。

この銀行は、最終的には、だめだこりゃ社の最大の資産を手に入れることが最終目的なのだろう。だめだこりゃ社の最後の砦となったこの資産は、100年に一度出るか出ないかと言われている程の場所である。そこを手に入れてしまえば、ゲームオーバーである。だからだめだこりゃ社が潰れるのを待っているのだ。

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2004年09月10日

再建計画の頓挫

[だめだこりゃ株式会社]
仕入単価を引き下げ、収益を上げる。この作戦はやればやった分だけ効果が上がる。だめだこりゃ社は仕入に手をつけたことがなかったため、効果は抜群に上がるはずであった。

実際動き出すと、業者の言いなりで仕入れていたものが、適正なところまで落ちてくる。その効果額たるや半端な数字ではなかった。ただ、その効果は、単価引き下げされたものを仕入れて、初めて効果の出るものである。

だめだこりゃ社は、仕入の権限がいろんな人や部署に散らばっている。自分の既得権益はなかなか離そうとしないのが世の常である。だめだこりゃ社も例に漏れず、その抵抗族が多数存在する。同じ品質であれば安いほう、同じ価格であればより高品質なほうを選択するのが当り前なのであるが、そのような建前が通用するほど世の中は甘くない。そういった抵抗族は脅したりなだめすかしたりして、どんな手を使っても服従させなくてはいけない。そもそも仕入から材料費を削減するということは、だめだこりゃ社の再建計画の最重要命題である。守らせないほうがどうにかしている。しかし、抵抗族もさるもので、経営幹部をあの手この手で絡め取ってくるのだ。その策略にだめだこりゃ社の経営幹部は見事にはまり、経営幹部自ら、その大方針を曲げる決断を所々でしてしまうのだった。

いくら最重要命題といっても、経営幹部が認めた例外が多数発生しては、守られるものも守られなくなっていくのは当り前のことだ。一年が終わってみれば、会社で指定した材料をきちんと使用したのは3割程度であった。これでは期待通りの結果など出るはずもない。こうして、だめだこりゃ社はますます経営状況が苦しくなっていったのである。

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2004年08月24日

再建計画

[だめだこりゃ株式会社]
M&A資金も底をつき、資金ショートも見え隠れするようになっただめだこりゃ社は、再び新たに再建計画を作成することになった。その計画の骨子はズバリ「材料費削減」である。

通常、材消費削減を行う場合、まず販売している商品を把握していなくてはならないのはいうまでもない。その商品が市場から見て適正な価格であるか、その価格で利益を生み出せる商品であるのか、その商品は今後も伸びる商品なのかなど、調査するべき事柄は多岐にわたるのであるが、だめだこりゃ社はそのようなことをすっ飛ばし、仕入単価引き下げによる材料費削減に着手し始めた。世は流通革命などと騒がれている時である。具体的な手法もわからず、仕入単価引き下げによる材料費削減をうたい文句にしたのだ。

しかしこの計画は、所詮は抜本的な再建計画ではない。だめだこりゃ社を再生させるには、まず第一に有利子負債の圧縮が必要不可欠なのだ。有利子負債の圧縮による財務リストラを進めなければ、いくら利益を上げようともその効果は半減されてしまう。今ちまたで企業再生といわれている動きのほとんどが、まず最優先事項として財務リストラを進めている。平たく言えば、借金が多すぎてにっちもさっちも行かないから、まず借金を減らしてしまえと言うことである。

仕入単価引き下げはそれなりに進み、効果もある程度は出てきた。しかし、ここでだめだこりゃ社は企業体質を原因とする大きな壁にぶち当たることになるのだった。

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2004年06月24日

M&A資金の使い道

[だめだこりゃ株式会社]
だめだこりゃ社は、M&Aにより十数億の資金を調達できた。金融機関へは収益改善のため、返済のリスケを申し入れ、紆余曲折はあったが承諾してもらった。とりあえずながら立て直しの準備は整ったのである。

しかし、残された部門の収益性は低いままである。なぜ収益性が低いのか?簡単に言うと、材料費と人件費が高いのだ。

そこでだめだこりゃ社は、大規模な人員整理に着手し始めた。ここまでは普通だろう。しかしそのやり方は将来を考えたものではなく、辞めさせやすい若い人材、経営者の気に入らない人間から先に手をつけてしまった。残ったものは年寄りとイエスマンだけである。また、リストラと称してはいるが、その中には自然退職者ならびに社員から時給者への切替なども含まれていた。そのため体質は、変わらないどころか悪化してしまったのである。

もう一方の材料費についても、まったく改善が図られなかった。経営者は「コストを下げろ」と言うばかりで、どうやれば下がるかわからない状態であった。ご存知のとおり、決算に出てくる材料費は、前月在庫+当月仕入-当月在庫の数字となるが、数字上で材料費を下げるとしたら、架空在庫を載せてしまえば下がってしまう。通常このような操作を行われないようにする為監査が入ったりするものであるが、だめだこりゃ社には「監査」という意識はなく、驚くべきことに棚卸表さえなかったのである。つまり、月末在庫でいくらでも調整できたのである。だから、現場の長が変わると、必ずと言っていいほど改ざんが発覚した。それも数十万というかわいい金額ではなく、数千万単位で出てきた。こういう状態になったとき、経営者のスタンスとして、膿を全部出そうとする人と隠してしまおうとする人にはっきりと分かれる。だめだこりゃ社は後者であった。塩漬け人事の出来上がりである。

また、あらゆる個所の設備も老朽化していた上、金融機関から資産売却による返済を迫られていた為、設備投資資金にも数億という金額が投入された。しかし、その設備投資は、事業規模をまったく考慮していないものであった。はっきり言って過剰投資である。

こういった状態であったので、収益は改善されるはずもなかった。収益はまったく改善されず、M&A資金はどんどん運転資金へと消えていった。資金がなくなれば、人員整理も出来ない。人員整理の計画が頓挫したのは、M&Aが終わって2年も経たない時期である。たった2年で、だめだこりゃ社は、再び手詰まりの状態に入ってしまったのだ。

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2004年05月10日

番外編:カネボウ関連の日経新聞記事

[だめだこりゃ株式会社]
5月5日付けの日経新聞に、24年間カネボウ社長・会長を勤めた伊藤淳二氏のインタビュー記事が載っていた。そのなかの一文に
銀行主導で再建が進むと思ったが、結局は繊維もだらだら続けた。
…略…
銀行は想像以上にカネボウの経営に深く深くかかわってきた。例えば1998年に社長が石原総一郎氏から帆足隆氏に交代したのも、銀行の意向を反映している。銀行は実質的に人事権も握っていた。銀行からは93年以降、役員も含め10人以上の人材を受け入れてきた。過去10年以上、カネボウの経営を管理下に置いてきた銀行の責任は重い。

というものがあった。銀行に責任を押し付けている面もあるだろうが、だめだこりゃ社も同じような境遇であり、他人事とは思えない。 [続きを読む]

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おやじ、わが耳を疑う

[だめだこりゃ株式会社]
信じられない計画とは…

だめだこりゃ社再建のためには、人員削減等を含めた再建資金と、さらには運転資金が必要であった。だめだこりゃ社はその資金捻出のために、私の従事していた事業ともうひとつの高収益事業の二事業を売却することにしていたのだ。

私が社長室に入って数ヵ月後、その事実を告げられた。私は、今まで一緒に苦楽を共にしてきた仲間を売る羽目になったのである。

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番外編:経営者の違い

[だめだこりゃ株式会社]
最近の三菱関連の不祥事を見ていて痛感することがある。

それは「経営者によって、ここまで会社は変わってしまうのか」と言うことだ。

三菱の対極には、日産がある。日産はゴーン氏によって見事に再生の道が開けた。ゴーン氏がくる前は、日産と三菱、どちらが危ないかと言ったら、迷わず日産と言う人が多かっただろう。しかし今では形勢が180度変わってしまった。長い年月で変わったのではない。ほんの数年の出来事だ。大企業でも、短い期間で変わることができるのだ。

経営者のスタンスで、企業はこれほどまでに差が出てしまう。私にとって、ある面では希望のもてる話であるが、ある面では夢も希望もなくなってしまう話である。

だめだこりゃ社は、いま、生き残りをかけてもがいている。ある程度光の見えそうな話も無いわけではない。しかし、今まだ経営者は誰一人変わっておらず、変わっていないと言うことは、三菱と同じ道を歩むと言うことである。

企業のスタンスは経営者で決まる。だめだこりゃ社は沈み行くだけなのであろうか。

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2004年04月02日

金融機関からの締め付け

[だめだこりゃ株式会社]
返事をして1ヵ月もしないうちに、私はだめだこりゃ社の本社へ配転された。配属先は、「社長室」であった。

そのころはバブルが崩壊して数年が経っており、その影響は私のいる地方都市にまで及んでいた。

だめだこりゃ社はバブルだからといって、あきれるほど過剰な資産投資をしていたわけではない。しかし、放漫経営がもたらす収益の悪さから、自己資金はどんどん減っていった。運転資金が不足していったため、資金の借入はどんどん膨らんでいったのである。

企業にとって、現金は血液に等しい。バブルのころは「○○億用意してくれ」と言えばにこやかに用意してくれた金融機関も、バブル崩壊後は貸し渋りをするようになっていき、ついには運転資金が枯渇する状況まで追い込まれてしまったのである。

幸いなことに、だめだこりゃ社には結構な資産があった。しばらくの間は、休眠資産の売却で乗り切っていたが、それとて無尽蔵にあるわけではない。その間にも放漫経営からの脱却が図れれば立ち直る道もあったであろうが、なにせ経営者とその取り巻きは今までと同じ人間である。収益が改善していくはずはなかった。

私が社長室に配属されたのは、だめだこりゃ社再建計画策定の真っ最中であったのである。そのとき私は、信じられないような計画が進行していることを知らされ、愕然としたのであった。

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2004年03月13日

そのころ私は

[だめだこりゃ株式会社]
そのころ私は、やり手の専務がもってきた業態に従事していた。始めはアルバイトとして働いていたのだが、バイトに精を出しすぎ、大学も卒業できそうになくなってしまっていたので、めんどくさいから社員としてもぐりこむことにした。

どういうわけか、社員になってすぐ店長をまかされたのであるが、右も左もわからない若造のすること、その店は一時赤字に転落してしまった。その専務の直属の部下から、しこたま怒られたのは言うまでもない。

ちょうどバブルの最盛期で、店舗は慢性的な人手不足。なおかつ前任の店長がバイトを甘やかし放題だったこともあり、かなり精神的にまいっていたのだが、一念発起して、半年で立て直すことに成功した。営業時間を短縮し、生産性を上げ、材料費の管理を徹底することで、見る見る収益体質に変わっていった。

その店は2年で次の店長へとバトンタッチし、私は古巣のアルバイトで入った店へ戻った。その店でも、営業利益率25%以上をキープし続けた。

その後、店舗のエリアマネージャーとなったのであるが、そのとき初めてだめだこりゃ社の財務体質の概要を知らされた。

なんと、私が従事していた業態の営業利益のほとんどが「金利」に消えているというのだ。どうすればそこまで借金できるのか、まじめに経営者の能力を疑ったのは言うまでもない。

そのころのだめだこりゃ社は、経営者が「柱」と考えている事業の売上は全社の70%を占めていたが、収益は赤字であった。それに対し、私が従事していた業態は全社のたった10%程度であったにもかかわらず、全社営業利益の60%以上をたたき出していたのである。

そのような状態でも、私の従事していた組織の待遇はまったくよくならず、赤字の業態に従事しているものの待遇のほうがよかった。このあたりから私の中に、「変な会社」という意識が芽生えていったのである。

私は従事している業態に飽きつつあった。そのころ、私の恩人(やり手の専務の直属の部下)が、経営陣との確執で退社を余儀なくされた。この人がいたから、私の従事している業態は高収益をキープできていたのである。そのような人材を無碍に扱うのは、経営者として失格だろう。

その後任者は、経営者のお気に入りであった。その後任に、私は「本社にこないか?」と誘いを受けたのだった。私は仕事に飽きてきたのもあって、特に迷わず「OK」の返事を出したのである。

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2004年03月03日

繁栄と衰退

[だめだこりゃ株式会社]
だめだこりゃ社がどのような商売に目を付け、どのように展開していったかはご想像にお任せしよう。

その当時、だめだこりゃ社にはやり手の専務がおり、この専務がだめだこりゃ社の次の事業基盤を作るべく邁進していた。その新規事業はそれなりの成果を見せ、ある部門では営業利益率20%を超える事業になっていったのである。

有能な部下は、その会社オーナーにとって非常に頼もしい存在であるが、その部下の勢力が強大になるにつれ、オーナーとしては面白くない存在に変わっていったのは想像にかたくない。権力者が、自分の権力をおびやかす存在の排除にかかるのは至極当然のことだろう。

そこでオーナーは、あるコンサルタントと、T大卒のオーナーの弟を相談役としてだめだこりゃ社に呼び寄せた。本来の意味では相談役=コンサルタントなので、要はコンサルタントを2人導入して、この専務を抑え込もうとしたのであろう。

しかし、このコンサルタント、大した実績もあげていないのにオーナーに取り入るのだけはうまいというとんでもない野郎で、そこに見栄ばかり張りたがる相談役がからんだものだから、ありとあらゆる設備は過剰投資となっていったのである。

このころはバブル最盛期で、金融機関もどんどん金を貸してくれた。設備投資過剰であるから、運転資金は借り入れでまかなうようになっていったのはそれからまもなくのことである。

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